| 2010年01月23日 |
将軍たちの金庫番
徳川幕府の財産は、五代綱吉の時代にはほぼ枯渇。悩める老中らは、金集めのため世界でも稀な奇策を放つ。だが幕末、その奇策が原因で、江戸の経済にとんでもない大混乱が起きてしまう。諸藩・幕臣の慢性的な困窮、田沼・松平ら老中たちの功罪、総領事ハリスの悪知恵…。金の流れを追えば、幕府崩壊の意外な一因が見えてくる。誰も知らなかったお江戸経済事情をまとめた一冊。
今まであまり考えたことがなかったが、江戸時代というのは、幕府が天下の政治を取り仕切っているが、直轄地以外の租税徴収権をもっていないという一種の行政の過剰サービス状態だったと著者は指摘している。そして、行政過剰サービスの帳尻をあわせるために、天下のことにかかわる費用、公的費用は、諸大名にも負担させるべきであるという形で御手伝普請などをさせていたらしい。まーそういえなくもないが、なんだか後付けのような感じでしっくりこなかった。
本書の中で面白かったのが、幕府財政を切り盛りするためにやっていたさまざまな貨幣改革の歴史である。日本史の中でも一部学ぶが、経済という視点ではあまり見られていなかった。貨幣改革の中で面白いと思ったのが、「銀貨の金貨化」である。ある種の錬金術ともいえる。
そして、これも確かにそうだ!と思わされたのが、当時は、農民から年貢という税を取り立てているが、商人には、決算をさせて利益に税をかけるといったことがされていない。これなら商売はやりやすいし、利益も貯めやすい。現代では、毎年決算を行い、利益の半分近く税金として持っていかれる。少し前までは、年度中の役員報酬を増減させて利益を少なくして、税金を少なくするという方法がとれたが、今はそれもできないという、江戸時代から考えれば商売がやりにくい時代である。そう考えると江戸時代というのは、士農工商と低い身分ではあっても商売人にとっては天国だったのかもしれない。
江戸時代の経済史を知りたければ、なかなか面白い一冊といえる。
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