2010年07月29日
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デフレの正体


デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
藻谷 浩介
角川書店(角川グループパブリッシング)


「生産性の上昇で成長維持」という、マクロ論者の掛け声ほど愚かに聞こえるものはない。日本最大の問題は「二千年に一度の人口の波」だ。「景気さえ良くなれば大丈夫」という妄想が日本をダメにした。これが新常識、日本経済の真実。

非常にタメになった本である。日本の人口や経済についての将来予測について書かれた本をいくつか読んできたが、著者が指摘する点をしっかり数値で押さえた上で考えたことがなかった。ぼんやりとそうではないかと思っていた事柄を数値ではっきりと示してもらったので、これだ!という感じを読みながら感じた。それがなにかというと、本書のタイトルの答えである。

つまり、「 生産年齢人口の減少 」である。

そして、この「生産年齢人口の減少」という問題がいかに解決が難しいか。日本の多くの人はそれを知らなければならないと思う。著者は、「生産年齢人口の減少」に伴う内需縮小を食い止めるためのいくつかの策を書いている。その目的とするのは以下の3点である。

1.生産年齢人口が減るペースを少しでも弱めよう
2.生産年齢人口に該当する世代の個人所得の総額を維持し増やそう
3.個人消費の総額を維持し増やそう

この3点を達成するのがいかに難しいか。出生率の上昇というのも少し頭に浮かんだが、これが実に意味が薄い目標かということを数値的に認識させられたし、移民という案も同様に見込みが薄い策であることもわかった。

日本はいろんな意味でアジアのトップを走る国である。この「生産年齢人口の減少」という問題でもトップをはしっているが、逆にいえば、今後、他のアジアの国々も「生産年齢人口の減少」という問題が浮上してくる。中国が日本へ移民を出すというのがどれくらいあり得ないのか数値で予測できる。将来的に発生する中国の「生産年齢人口減少」問題は日本をはるかにしのぐスケールとなる。

本書が良かったのはここまでである。
現状分析と将来予測については非常に明快に理解しやすく丁寧に書かれている。

しかしながら、その解決策については分析が非常に良かっただけに実に残念である。著者はさまざまな解決案を出しているが、どれも実行されないだろう。ただそれは著者の責任ではないと思う。それほどこの問題は解決が難しいということだと思う。この「生産年齢人口の減少」という問題の根深さを改めて認識させられた。

今後、著者も本書ではかけなかった解決案を考えつくかもしれないし、それは著者だけの仕事ではないと思う。すべての日本人に関連し、大きな影響がある問題であるので、みなで知恵を出し合うしかないのだと思う。(自分も含めて)

すべての日本人にオススメの一冊である。



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